東京都DXリスキリング助成金で生成AI研修を受ける申請手順

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都内で生成AI研修を検討している中小企業の担当者から「使える助成金が多すぎて、どれを選べばいいか分からない」という声をよく聞きます。東京都の「DXリスキリング助成金」と国の「人材開発支援助成金」は、どちらも生成AI研修に使えますが、時間要件が正反対になっていて、実は棲み分けがしやすい制度です。この記事では、二つの制度の違いを整理したうえで、東京都の助成金を使って生成AI研修を受けるまでの手順を説明します。

東京都DXリスキリング助成金で生成AI研修を受ける手順
目次

二つの助成金は「時間の長さ」で棲み分けられる

東京都のDXリスキリング助成金(窓口:東京しごと財団)と、国の人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース(窓口:厚生労働省・都道府県労働局)は、対象となる研修の時間要件が逆になっています。東京都の制度は3時間以上10時間未満の研修を対象にしており、国の制度は10時間以上が条件です。つまり、短時間のAI入門研修は都の制度、まとまった時間をかけるコースは国の制度、という使い分けが自然に成立します。

ただし、同じ研修に両方を重ねることはできません。都の制度の要件に「国や自治体の他の助成と同じ研修での併用は不可」と明記されています。「都と国を組み合わせてお得に」という発想は成立しないため、どちらの制度で申請するかを研修ごとに決める必要があります。研修の時間数を確認してから制度を選ぶ、という順番で進めるのが確実です。

生成AI関連の研修は、半日(3〜4時間)の体験セミナーから、週1回・数ヶ月にわたる体系的なカリキュラムまで幅広く存在します。前者は都の制度が合い、後者は国の制度が合う、という判断軸になります。使える助成金の全体像については、生成AI研修に使える費用助成の制度まとめでも国・都・その他の制度を並べて整理しているので、制度選びの段階で参照してみてください。

東京都DXリスキリング助成金の基本条件

対象になる会社

都内に本社または主たる事業所を置く中小企業が対象です。「主たる事業所」という表現がポイントで、本社が都外でも都内に主要な拠点があれば対象になる可能性があります。ただし、東京しごと財団に確認するのが安全です。

助成率と上限額

助成率は研修費用の4分の3(75%)です。1人1研修あたりの上限は7万5,000円で、1社あたりの年間上限は100万円となっています。

例として考えると、従業員30人の会社で10人に1人あたり8万円の研修を受けさせる場合、助成対象経費は8万円ですが上限が7万5,000円のため、1人あたり7万5,000円の助成が受けられます。10人分で75万円、年間上限100万円の範囲内に収まるため、フル活用できる計算になります。一方、20人に受けさせようとすると合計150万円になり、年間上限100万円を超えるため、2年に分けて申請するか国の制度と組み合わせることを検討することになります。

対象になる研修の形式

研修の形式は二種類に分かれています。一つは外部教育機関の一般公開講座で、集合研修・同時双方向のオンライン研修・eラーニングが対象です。もう一つは教育機関に委託するオーダーメイド研修で、こちらは集合形式のみです。

注意が必要なのはサブスクリプション型のサービスです。月額定額で動画を見放題にするタイプのeラーニングプラットフォームは対象外になります。「研修費用を払った」という形式よりも、「特定のプログラムを受講した」という実態が必要です。また、自社と資本関係のある会社(グループ会社など)が提供する研修も対象外です。

研修の内容については「DX推進のために必要な知識・技能の習得や向上を目的とする研修」であることが条件で、生成AIの業務活用を扱う研修はこの条件に合致します。ただし、パソコンの初歩操作だけの内容や、特定のシステムの操作説明だけの研修は対象外になります(これは国の制度でも同様です)。

申請のタイミングと手順

研修開始の1か月前が絶対の締め切り

この制度で最も見落としやすいのが申請タイミングです。研修開始の1か月前までに電子申請を完了し、交付決定を受けることが必須です。交付決定が出る前に研修を始めてしまった場合、その研修は対象外になります。「研修が決まってから急いで申請する」では間に合わないケースがほとんどです。

受講したい研修のスケジュールが決まった時点で、まず東京しごと財団のWebサイトで申請書類を確認し、1か月以上の余裕がある状態で動き出す必要があります。研修のスケジュールを先に仮押さえし、申請が通らなかった場合はキャンセルする、という段取りを研修会社と事前に確認しておくと安心です。

申請から受講完了までの流れ

申請の大まかな流れは次のとおりです。まず東京しごと財団のシステムから電子申請を行い、交付決定の通知を受け取ります。交付決定後に研修を受講し、受講完了後に実績報告書と領収書等の書類を提出します。その後、審査を経て助成金が振り込まれます。

実績報告の段階で必要になる書類は、受講証明書・領収書・出席確認ができる書類などが一般的ですが、公募要領の改訂で変わることがあるため、申請前に最新の要領で確認してください。

予算がなくなれば年度途中でも終了する

受付は年度を通じて行われていますが、予算が尽きた時点で終了します。年度後半になるほど予算が残っていない可能性が高まるため、「来年度に回せばいい」と先送りすると使えなくなるリスクがあります。年度の早い時期に研修計画を固め、余裕を持って申請することを検討してください。

国の制度を使う場合の準備(参考)

東京都の制度が合わない場合、国の人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の選択肢があります。こちらは10時間以上の研修が対象で、中小企業の場合は経費の75%・1人あたり上限30万円(訓練時間100時間未満の場合)が助成されます。さらに、研修中の賃金を1人1時間あたり1,000円補填する賃金助成も付きます。

一方で、申請の準備が東京都の制度より手厚く必要です。訓練開始の6か月前から1か月前までに計画届を労働局に提出するほか、「職業能力開発推進者」の選任と「事業内職業能力開発計画」の整備が求められます。これらは社内の体制整備を伴う作業で、担当者に一定の準備期間が必要です。

eラーニングで受講する場合は賃金助成が付かず、経費助成のみ(上限15万円)になります。また、令和8年8月3日以降に計画届を出す場合は1人あたり年1回の制限も加わります。この制度自体は令和8年度末までの時限措置で、以降は後継制度の「人材育成支援コース」に移行する予定ですが、助成率は中小企業で45%と一段薄くなります。

整理すると、短時間の入門研修を手軽に試したいなら東京都の制度、まとまった時間の体系的な研修を社内制度として整備しながら進めるなら国の制度、という使い分けが現実的です。

生成AI研修を選ぶときの判断軸

助成金の制度を理解したうえで、実際にどんな研修を選べばよいかも整理しておきます。都の制度で申請するなら3時間以上10時間未満の範囲に収まる研修を選ぶことが条件になります。この時間帯に該当する研修は、「生成AIの基本と業務活用」を半日で学ぶ形式が多く、ビジネスパーソン向けの一般公開セミナーで広く提供されています。

従業員10〜20人規模の会社で、まず数人に試してから全社展開を検討したいケースでは、一般公開講座で少人数から始めて、反応を見てからオーダーメイド研修に移行する流れが合います。一般公開講座であれば1人から申し込めるため、研修内容の品質を確認しやすいメリットがあります。社内に生成AIを推進できる人材がまだいない段階では、まず担当者候補1〜2人を公開講座に送り出し、社内の旗振り役を作ることが現実的な出発点です。

一方、50人規模の会社で全部門に一斉に展開したい場合は、オーダーメイド研修の委託が効率的です。自社の業務フローや使用ツールに合わせた内容にできるため、「学んだが職場で使い方が分からない」という断絶が起きにくくなります。ただし、オーダーメイドは集合形式のみが対象なので、リモートワーク中心の会社では実施場所の確保が必要になります。

まとめ

東京都DXリスキリング助成金は、短時間の生成AI研修を経費の75%助成で受けられる制度で、申請手続きの負担が国の制度より軽い点が特徴です。ただし、「交付決定前に研修を始めたら対象外」「予算がなくなれば終了」という二つの条件が、申請を後回しにすることへのリスクになります。研修の計画が固まった段階で、すぐに東京しごと財団の最新の公募要領を確認し、申請のスケジュールを逆算することが、この制度を確実に活用するための出発点になります。

※本記事の制度情報は2026年8月30日時点の一次資料に基づいています。申請前に東京しごと財団の最新の公募要領をご確認ください。

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