中小企業のAI利用規程、たたき台をAIで作る手順

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社員がChatGPTを使い始めているのを見て、「何かルールを作らなければ」と思っているなら、まず公開されているAI利用規程のひな形を1〜2本集め、ChatGPTに読み込ませてください。自社の規模・業種・禁止したい情報を指定するだけで、たたき台は1時間以内に出てきます。法務チェックはその後です。

目次

作業前に用意するもの

必要なものは3つです。

  • ひな形の原文:一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)や各地の商工会議所が公開しているAI利用ガイドライン、または大手企業が公開しているChatGPT利用規程をそのままテキストでコピーしておく
  • 自社の基本情報:従業員数、主な業務内容、すでに使っているツール(たとえばChatGPT、Microsoft Copilot、Claudeなど)
  • 禁止したい情報のリスト:顧客の個人情報、取引先との契約内容、未公開の財務数値など、社外に出てはいけないものを箇条書きにしておく

この3点を手元に置いてから作業を始めると、AIへの指示がぶれません。

ChatGPTへの指示の出し方

ひな形をそのまま「参考にして」と渡すだけでは、出力が原文の焼き直しになります。次の順序で指示してください。

ステップ1:ひな形を貼り付けて要約させる

まずChatGPTに「以下の規程を読んで、条項の構成を箇条書きで教えてください」と指示し、ひな形を貼ります。これで「どんな項目が必要か」の地図ができます。

ステップ2:自社の条件を追加して草案を生成させる

「この構成をベースに、以下の条件で中小企業向けのAI利用規程を作ってください」と続け、自社情報と禁止情報のリストを渡します。このとき「従業員30人、製造業、ChatGPTのみ業務利用可」のように具体的に書くほど、汎用的な文言が減ります。

ステップ3:確認フローの条項だけ別に作らせる

草案全体の質を上げようとすると出力が長くなりすぎます。「第○条(利用前確認)の部分だけ、承認者・確認内容・記録方法を含めて書き直してください」のように、一度に直す箇所を絞ると調整しやすくなります。

規程に必ず盛り込む項目

中小企業の規程でよく抜け落ちる項目が3つあります。草案ができたら確認してください。

利用可能なツールの明示

「生成AIを使うこと」を禁止・許可するだけでは不十分です。「ChatGPT(OpenAI)、Microsoft Copilot、Claudeは業務利用可。それ以外のツールは申請制」のように、ツール名を列挙します。社員が勝手に別のサービスを使い始めるのを防ぐためです。

入力禁止情報の定義

「個人情報を入れない」だけでは現場は判断できません。「顧客の氏名・住所・電話番号」「取引先が特定できる社名と金額の組み合わせ」「未公表の製品仕様」など、具体的な情報の種類を書きます。

確認フローと記録の義務

何かあったときに「誰がどのツールをどう使ったか」を追跡できる仕組みが必要です。最低限、「業務でAIが生成したアウトプットをそのまま社外に出す場合は、上長の確認を経ること」という1文を入れてください。フォームや台帳で記録を残す運用まで書けると理想的ですが、まず1文だけでも入れることを優先します。

具体的な作業イメージ

従業員35人の食品卸会社で、総務を一人で担当しているケースで考えます。社員の数人がすでにChatGPTで見積書の文面や社内報を書いていると気づき、経営者から「何かルールを作って」と言われた状況です。

この担当者がまず行うのは、JDLAが公開している「生成AI利用ガイドライン」のPDFをテキストに変換し、ChatGPTに貼り付けることです。次に「うちは食品卸、従業員35人、使っているのはChatGPTだけ。顧客の発注情報と仕入れ先の掛け率は入力禁止にしたい」と指定します。

30分もあれば2,000字程度の草案が出てきます。これを叩き台として社長と営業部長の3人で内容を確認し、表現を修正します。この段階は法務チェックではなく「現場が守れるか」を確認する場です。運用できないルールは、書いても意味がありません。

社内合意が取れた段階で弁護士や社労士に見せ、法的に問題のある条文がないか確認します。全部自社で作るより、叩き台がある状態で専門家に見せるほうが時間も費用も少なくて済みます。

AI導入を進める際の社内研修費用や助成金については、生成AI研修の費用と助成金:中小企業が今年度使える制度と相場を整理にまとめています。規程の整備と並行して確認しておくと、導入の全体コストを把握しやすくなります。

法務チェック前に社内合意を取る順序

法務確認を先にしようとすると、費用と時間がかかるうえ、現場の実態と合わない規程ができやすくなります。次の順序が現実的です。

  1. たたき台を生成し、担当者が読んで違和感のある箇所を修正する
  2. 経営者と主要な部門責任者(2〜3人)で内容を確認する。「これは守れるか」「これは現場に伝わるか」が確認の軸
  3. 修正が終わった版を弁護士・社労士に送り、法的リスクの有無を確認する
  4. フィードバックを反映して正式版とし、全社に周知する

ステップ2の段階で「守れないルール」を削るか緩和しておくと、法務チェック後の手戻りが減ります。

注意点

ChatGPTが生成した草案には、自社の実態と合わない条文が混ざります。特に「AI利用委員会を設置する」「月次で利用状況を報告する」のような、専任担当がいない中小企業には重すぎる条項が入りやすいです。草案を受け取ったら、「うちの会社でこれを実際に運用できるか」という目線で一度読み直してください。

また、AIの利用規程は一度作ったら終わりではありません。使えるツールが増えるたびに条文の見直しが必要になります。最初から完璧を目指すより、「今使っているツールに関するルールだけ整える」という割り切りで作り始めるほうが、動き出しは早くなります。

規程の内容や社内研修の進め方で判断に迷う場合は、当メディアのAI導入相談からお問い合わせください。自社の状況を整理したうえで、必要な専門家をご紹介します。

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