ChatGPT研修とCopilot研修の違い|どちらを先にやるか判断する3つの基準

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社内でAI研修を検討し始めると、まず直面するのが「ChatGPTの研修から入るべきか、Microsoft Copilotから入るべきか」という問いです。両方やればいい、とも思えますが、同時進行にすると習熟が分散して中途半端になるリスクがあります。この記事では、自社の契約状況・対象業務・情報の取り扱いという3つの軸で、どちらを先に進めるかの判断材料を整理します。

ChatGPT研修とCopilot研修の違い、どちらを先にやるか
目次

まず整理しておきたい:ChatGPTとCopilotは「別のもの」

ChatGPTはOpenAIが提供するAIチャットツールで、ブラウザからアカウントを作ればすぐに使い始められます。法人向けには「ChatGPT Team」や「ChatGPT Enterprise」というプランがあり、チームで使う場合はそちらを契約するのが一般的です。一方、Microsoft Copilot(以下Copilot)は、Microsoft 365のアプリ群(Word、Excel、Teams、Outlookなど)に組み込まれたAI機能で、既存のMicrosoft 365ライセンスに追加で「Copilot for Microsoft 365」ライセンスを購入することで使えるようになります。2024年時点では1ユーザーあたり月額4,497円(年間契約)が目安です。

両者に共通するのは、自然言語で指示を出せば文章生成・要約・アイデア出しといった作業を支援してくれる点です。ただし使う場所がまったく異なります。ChatGPTはブラウザやスマートフォンアプリで使うため、業務システムとは独立した使い方になります。Copilotは普段使っているWordやExcelの画面の中で動くため、操作の文脈が「いつものOffice作業」とつながっています。この違いが、研修の設計にも大きく影響します。

判断軸①:Microsoft 365を全社導入しているかどうか

自社がすでにMicrosoft 365を全社で使っているなら、Copilot研修から入ることを検討する価値があります。理由はシンプルで、従業員が毎日触っているOutlookやTeamsの画面に機能が載ってくるため、「新しいツールを覚える」という心理的なハードルが低くなるからです。研修で学んだことを翌日の業務でそのまま試せる環境が整っているのは、習熟スピードに直結します。

一方、Microsoft 365を部分的にしか使っていない、あるいはGoogleのサービスが主体という会社の場合は話が変わります。Copilotの効果が最大限に発揮されるのはWordでの文書作成、Excelでのデータ整理、Teams会議の議事録作成といった場面ですが、これらを普段から使っていなければ研修の実感が薄くなります。そういった会社では、ChatGPTを先に導入して「AIに指示を出す」という基本的な感覚をチームに身につけさせるほうが、結果的に遠回りにならないことが多いです。

またCopilot for Microsoft 365を使うには、Microsoft 365 Business StandardかBusinessPremium、またはEnterprise系のライセンスが前提条件として必要です。Personal版や古いOfficeパッケージには対応していないため、自社の契約状況を事前に確認しておく必要があります。

判断軸②:研修で習得させたい業務はどこか

研修の目的を「何の業務を楽にしたいか」で考えると、ツールの選択が自然に絞られてきます。よくある業務別の対応を整理すると、次のように分かれます。

メール文章の作成・返信、議事録の要約、社内報告書のたたき台作成など、Microsoft 365のアプリと直結した業務が多い会社はCopilotの恩恵を受けやすいです。特にOutlookでの返信文生成はCopilotが得意とするところで、メール対応に時間を取られている管理部門には効果を感じやすい用途です。

それに対し、営業企画書のアイデア出し、競合調査の要約、採用候補者へのスカウト文のバリエーション作成、SNS投稿の下書きなど、Microsoft 365の枠を超えた幅広い用途を想定しているなら、ChatGPTのほうが柔軟に対応できます。ChatGPTはファイルをアップロードして内容を読み込ませることもできるため、業種や職種を問わず使いやすく、「とにかく生成AIの使い方を一通り体験させたい」という最初の研修としては間口が広いです。

従業員20人ほどの製造業の会社を例に考えると、工場の現場スタッフよりも営業・総務・経営層が先に研修を受けることが多く、そういった職種はMicrosoft 365を使いつつも文書作業の幅が広いため、ChatGPTで「AIに頼む」感覚を掴んでから、Copilotの使い方に移行するというステップが機能しやすいです。

判断軸③:社内情報をAIに入力する際のリスク管理

研修を設計するうえで見落とされがちなのが、情報の取り扱いです。従業員が研修でAIを使うとき、社内の資料や顧客情報をプロンプトに貼り付ける場面が必ず出てきます。ここでのルールを曖昧にしたまま研修を進めると、情報漏洩のリスクが生じます。

ChatGPT(無料版・Plusプラン)はデフォルトで入力データが学習に使われる設定になっています。法人向けの「ChatGPT Team」以上のプランでは学習への使用がオフになっており、エンタープライズプランはさらに厳格なセキュリティ設計がされています。研修で使う場合は無料版やPlusを使わせないというルールを先に整備しておく必要があります。

Copilot for Microsoft 365は、テナント(会社のMicrosoftアカウント)内のデータを使う設計になっており、Microsoftのコンプライアンス設定に従います。すでにMicrosoft 365を業務利用している会社にとっては、情報管理のポリシーがそのまま延長される形になるため、追加のルール整備が比較的少なくて済みます。セキュリティポリシーをゼロから作るよりも、既存のルールに乗せられる環境があるかどうかは、中小企業では特に判断の分かれ目になります。

生成AI研修の費用と助成金について整理したガイドでも触れているように、研修で教える「ツールの使い方」よりも「何をAIに渡していいか」「何を渡してはいけないか」というルールの共有のほうが、現場に定着しやすい内容です。研修カリキュラムを設計する段階で、情報取り扱いのルールを先に決めておくことが、ツール選択と同じくらい重要です。

両方を同時に進めないほうがいい理由

「どうせ両方使いこなしてほしいなら、最初から両方教えればいい」と考える担当者も少なくありません。ただ実際に同時進行にした会社では、従業員が混乱しやすいという声をよく聞きます。

ChatGPTとCopilotはどちらもAIに指示を出す(プロンプトを入力する)という操作の基本は同じですが、使う場所・できることの範囲・情報管理のルールが異なります。同時に覚えようとすると、「これはChatGPTでやるのか、Copilotでやるのか」という判断を毎回しなければならず、そこで思考が止まってしまいます。業務の中でAIを自然に使うようになるには、まず一方に慣れて「この感覚」を体に染み込ませる期間が必要です。

一般的に、最初の研修から実務で使い始めるまでに2〜4週間の定着期間を見ておくと安全です。その期間に一つのツールを繰り返し触らせることで、操作の迷いが減り「次はこれを試してみよう」という自発的な活用が生まれやすくなります。その後で2つ目のツールを導入すると、「あのときと似た感覚だけど、ここが違う」という理解ができるため、習熟が早まります。

ツール別の研修コストと準備の違い

研修設計の実務として、コストと準備の違いも把握しておくと判断しやすくなります。

ChatGPTを法人研修に使う場合、まず全員分のChatGPT Teamアカウントが必要で、1ユーザーあたり月額30ドル(年払いなら月額25ドル)が目安です。アカウント管理はOpenAIの管理コンソールで行い、SSO(シングルサインオン)にも対応しています。準備のリードタイムは短く、申込みから数日以内に使い始められます。

Copilot for Microsoft 365の場合、既存のMicrosoft 365ライセンスが土台になるため、その上に追加ライセンスを購入する形です。ライセンスの展開にはIT担当者(または外部のMicrosoft販売代理店)が必要で、テナント設定の確認も含めると、研修開始まで2〜4週間のリードタイムを見ておくのが現実的です。既存のMicrosoft 365契約がない会社がCopilotだけ導入しようとすると、ライセンスコストが大きくなるため、費用対効果を慎重に検討する必要があります。

以下に主要な比較をまとめました。

項目 ChatGPT Team Copilot for Microsoft 365
前提条件 なし Microsoft 365 Business Standard以上
料金目安(1人あたり) 月額約3,750円〜(年払い) 月額約4,497円(年間契約)
主な使用場所 ブラウザ・アプリ Word / Excel / Teams / Outlook
情報管理の設定 プランによる(Team以上で学習オフ) Microsoft 365のポリシーに準拠
研修開始までのリードタイム 数日〜1週間 2〜4週間

どちらのツールも「プロンプトの入力精度」が実務での成果を左右します。プロンプトの書き方ガイドを研修資料の補足として使うと、指示の出し方を体系的に学べます。

まとめ

Microsoft 365を全社で使っており、情報管理のポリシーをMicrosoftの枠組みに乗せたい会社はCopilotから始めるほうが自然です。そうでない会社、あるいはまず「AIに慣れる」という段階を踏みたい会社はChatGPTからのほうが導入ハードルが低く、研修の設計もシンプルになります。判断に迷う場合の分水嶺は「従業員が毎日触っているツールはどちらか」という問いです。日常の作業動線からずれたツールを研修で教えても、実務への転用率は下がります。

研修の中身・費用感・社内展開の進め方について、自社だけでは判断が難しいと感じた場合は、AI導入の支援を行っているコンサルタントや社内研修の設計会社に相談してみることも一つの選択肢です。ツール選定より「誰に・何を・どの順番で覚えさせるか」の設計のほうが、現場定着に影響することが多いです。

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