議事録の転記、まだ手作業でやっていますか

商談が終わったあと、メモしたことをkintoneの案件情報に入力し直す——そういった転記作業に毎日時間を使っている営業担当者は少なくありません。LINE WORKS AiNoteとkintoneの連携プラグインが登場したことで、この流れが大きく変わる可能性があります。この記事では、連携でできることの全体像と、中小企業の現場でどう活用できるかを整理します。
LINE WORKS AiNoteとkintone、それぞれの役割を確認する
LINE WORKS AiNote(ラインワークス・エーアイノート)は、会議や商談の音声をリアルタイムで文字起こしし、AI要約・話者識別・フィラー除去(「えー」「あのー」といった言い淀みを自動で除く機能)をまとめて行うツールです。LINE WORKSというビジネスチャットに統合されており、すでにLINE WORKSを使っている会社であれば追加で利用できます。
kintone(キントーン)はサイボウズが提供する業務アプリ作成プラットフォームで、顧客情報・案件進捗・日報など社内の各種データをノーコードで一元管理できます。国内の中小企業を中心に広く普及しており、自社で作ったアプリ形式でデータを蓄積できる点が特徴です。
この2つはそれぞれ役割が異なります。AiNoteは「会話を記録・整理する」、kintoneは「業務データを管理・活用する」。今回の連携プラグインはその間にあった手作業の橋渡し部分を自動化します。
連携プラグインで何が変わるか
連携プラグインによって変わる主な点は、議事録データの流れ方です。これまでは、AiNoteが生成した要約テキストを担当者がコピーし、kintoneの該当レコードに貼り付けるという手順が必要でした。このプラグインを導入すると、その操作がワンタップで完了します。
機能として特筆したいのが「指定時刻への自動アップロード」です。たとえばチームで午後に複数の商談が入っている日、終業後の18時に設定しておけば、メンバー全員分の議事録がまとめてkintoneに取り込まれます。個々の担当者がその都度操作しなくても、一日分のデータが揃うわけです。営業マネージャーが翌朝確認するだけで、商談内容の全体像をkintone上で把握できる状態になります。
もう一点、顧客・案件情報と議事録データを紐づけて管理できる点も重要です。kintoneには顧客ごと・案件ごとのレコードがあるため、「この顧客との直近3回の商談でどんな話をしたか」を過去の議事録ごと参照できるようになります。これはCRM(顧客関係管理)的な使い方であり、専用のCRMシステムを別途持っていない中小企業にとっては、かなり実用的な組み合わせです。
転記作業の削減効果——現場での試算
中小企業向けのITツール導入支援に関わる複数の事業者へのヒアリングをもとに、週あたりの削減工数を試算しました。
営業担当3人のチームで、1人あたり1日平均3件の商談をこなしているケースを想定します。1件あたりの議事録転記に10〜15分かかるとすると、1人で週あたり150〜225分(約2.5〜3.75時間)が転記作業に充てられています。3人合計では週に最大11時間超が転記に消えている計算になります。
連携プラグインで転記をほぼゼロにできれば、この時間がまるごと空きます。月換算で40時間超。人件費に換算すると、時給換算2,000円で月8万円相当の作業が削減される計算です。プラグインの導入コストや設定工数と比較した場合、营业チームへの投資対効果として検討する価値は十分あります。もちろん実際の効果は商談件数や転記量によって変わりますが、「感覚的に多い」と思っていた転記作業がこれだけ数字になると、導入判断の材料にしやすくなります。
現場シナリオ:営業担当が商談後にやること
従業員40人規模の建材商社で、営業担当6名がkintoneで案件管理をしているケースで考えてみます。
現状は、商談後に各自がメモを見ながらkintoneの案件レコードに「今日話したこと」「次のアクション」を手入力しています。移動中は入力できず、帰社後にまとめて入力するため、内容が曖昧になることもあります。また、担当者によって記録の粒度がばらつき、引き継ぎ時に情報不足が発生することも課題でした。
AiNoteとkintone連携を導入した場合、商談中にAiNoteが自動で会話を録音・文字起こし・要約します。商談が終わったらその場でAiNoteの画面からワンタップでkintoneの案件レコードに議事録を飛ばせます。帰社後に入力し直す手間がなく、要約フォーマットが統一されているため、どの担当者の記録でも同じ構成で確認できます。マネージャーは夕方にkintoneを開けば、その日の商談内容が全員分揃っています。
こうした変化は、「ツールを使いこなせるか」より「普段の業務フローにどう組み込むか」の設計にかかっています。プロンプトの書き方ガイドでも触れているように、AIツールの恩恵を最大限引き出すには、どの場面でどう使うかの判断が先行します。
導入前に確認しておきたいこと
連携プラグインを使うには、LINE WORKSのアカウントとAiNoteの利用権限、そしてkintoneのアカウントがそれぞれ必要です。LINE WORKSは無料プランもありますが、AiNoteの利用可否はプランによって異なるため、現在のプランを確認することが先決です。kintone側では、プラグインをインストールする権限(管理者権限)が必要です。
どちらも契約していない場合は、先にどちらを優先して検討するかという順番の問題が出てきます。すでにkintoneを使っていてLINE WORKSは未導入という会社と、LINE WORKSをチャットで使っていてkintoneは未導入という会社では、エントリーポイントが変わります。ChatGPTの使い方ガイドでも整理しているとおり、AIツールは単体で評価するより「既存システムとの接続性」で選ぶほうが現場への定着率が上がります。
設定の複雑さについては、kintoneのプラグインはGUI(画面上の操作)ベースで設定できるものが多く、コードを書く必要は基本的にありません。ただし、どのkintoneアプリのどのフィールドにAiNoteのどのデータを入れるかを設計する作業は必要です。自社のkintone管理者と、AiNoteを使う営業担当が一度すり合わせるセッションを設けておくと、後から「フィールドが合わない」といった手戻りを防げます。
まとめ
議事録の転記は「大した作業ではない」と思われがちですが、積み上げると相当な時間になります。LINE WORKS AiNoteとkintoneの連携プラグインは、その転記という作業を構造ごと変える仕組みです。転記時間の削減だけでなく、記録の均質化・案件情報との紐づけ・チーム全体の情報共有という複数の課題に同時に手を打てる点で、営業チームを持つ中小企業には検討しやすい選択肢です。
自社の商談後フローで、どこに一番時間がかかっているかを一度確認してみるのが、判断の起点になります。連携プラグインの詳細や対応プランについては、LINE WORKSの公式ページで確認できます。導入設計の段階で迷う場合は、ツール選定ではなく「どう業務に組み込むか」の相談から始めると整理しやすくなります。


