Microsoft Teamsのコールキュー通話(複数のオペレーターで受け付ける電話窓口の仕組み)に、通話後のAI自動要約機能が追加される予定です。2026年12月のリリースを目標として、モバイル版のQueuesアプリから利用できるようになります。電話を切った後すぐに、会話のポイント・次のアクション候補・申し送り事項がまとめて画面に表示される形です。この記事では、機能の概要、どんな会社でどんな場面に効くか、利用に必要な条件と現時点でできる準備を整理します。
通話後の「あの5分」が積み重なる問題

電話対応を主業務の一つにしている会社なら、このシナリオに覚えがあるかもしれません。顧客から問い合わせの電話が来て、担当者が10分間対応する。電話を切った後、メモを見ながらCRMに入力し、必要があれば担当者間でチャットに転記する。1本あたり5分かからなくても、1日30本の対応があれば2時間以上がこの後処理に費やされます。
外出中の営業担当にとってはさらに厳しい状況です。電車の中で顧客対応の電話を終えた後、次の訪問先に向かいながらメモをとる、あるいは帰社後にまとめて記録するという流れになりがちです。記録が遅れるほど抜け漏れも増えます。対応した担当者が不在のときに上司や同僚が状況を把握しようとしても、CRMの情報が更新されていない——こうした連鎖は、社員10〜50人規模の会社でも日常的に起きています。
QueuesアプリのAI要約とは何か
MicrosoftのQueuesアプリは、Teams上でコールキュー(電話の順番待ち窓口)を管理するためのアプリです。コールセンターほど大規模でなくても、複数人で代表電話を分担している会社であれば利用できます。今回追加される「Intelligent call recap(インテリジェント通話サマリー)」は、通話が終わった直後に以下の情報をAIが自動生成して画面に表示する機能です。
- AI生成メモ:会話の流れを要約したテキスト
- 主要な議論ポイント:通話で取り上げられたトピックの抜き出し
- 推奨フォローアップタスク:「折り返し連絡をする」「見積を送る」といった次のアクション候補
対応した担当者だけでなく、スーパーバイザー(管理担当者)もこのサマリーを参照できます。チームの対応品質を確認するうえでも使えます。
リリース時期は2026年12月のGA(一般提供)を予定しています。現時点ではまだ利用できませんが、利用環境の整備は今から始めておけます。
誰がどのプランで使えるか
QueuesアプリはMicrosoft Teams上で動作するため、利用にはTeamsが含まれるMicrosoft 365のサブスクリプションが必要です。ただし、コールキュー機能はTeams Phoneのライセンス(通話プラン)が別途必要になるケースが多く、プランによって利用可否が変わります。
現時点での目安を整理すると、以下のような構成が前提になります。
| 必要な要素 | 内容 |
|---|---|
| Microsoft 365ライセンス | Business BasicやBusiness Standardなど、Teamsが含まれるプラン |
| Teams Phone(電話ライセンス) | コールキュー機能の利用に必要 |
| Queuesアプリの有効化 | Teams管理センターから設定 |
| モバイルアプリ | iOS・Android版のTeamsアプリ |
社内でTeamsを使っていても「通話機能はほとんど使っていない」という会社は、まずTeams Phoneのライセンス有無を確認するところから始めると良いでしょう。Microsoft 365の契約をベンダーや代理店経由で結んでいる場合は、担当者に「コールキュー機能が含まれているか」を確認するのが早い方法です。
従業員規模別のリアルな使い道
社員30人規模で、顧客サポートを2〜3名で分担している会社を例に考えてみます。代表電話が入ると担当者のスマートフォンに転送される仕組みを使っている場合、外出中の担当が電話を受けることも多くなります。対応が終わったその場でAIサマリーを確認できれば、移動中に内容を確認し、帰社後に「あの電話の件は?」と聞かれても即答できます。上司はQueuesアプリから対応内容をまとめて確認でき、週次でのコール振り返りもサマリーを見ながら進められます。
別のパターンとして、営業3〜4名が外回り中に顧客対応の電話を受けているチームです。これまでは電話後のメモを帰社後にまとめてCRMに転記していたとすると、1日の対応本数が多い日には翌日に持ち越しになることもあったはずです。AIサマリーが通話直後に生成されれば、担当者は「次のアクション候補」を見ながらそのまま返信メールを書いたり、CRMに貼り付けたりする時間が短くなります。完全に記録作業がゼロになるわけではありませんが、後工程の入力量は確実に減ります。
通話記録の後処理にかかっている時間の目安
独自にアンケートを実施したわけではありませんが、コールセンター業界の複数のレポートを参照すると、通話後の後処理(ACW:After Call Work)の平均は1件あたり3〜6分とされています。1日50件対応するオペレーターなら、単純計算で2.5〜5時間が後処理に使われていることになります。中小企業の場合はそこまでの件数ではなくても、1日10〜20件の電話対応をしている担当者が複数いれば、チーム全体で見ると無視できない時間です。
AI要約がすべての後処理を代替するわけではありません。顧客の感情的なニュアンスや行間の読み取り、CRMの特定フィールドへの入力など、人が判断すべき部分は残ります。ただ、「何について話したか」「次に何をすべきか」という基本的な記録を起こす作業のうち、少なくとも半分程度はAIが下書きできる状態になるとすれば、担当者の負荷軽減としては十分に意味があります。
プロンプトの書き方ガイドでも触れているように、AIが生成した文章をそのまま使うのではなく「修正・確認する素材」として扱うと、精度への期待値と実際の使い勝手がうまく合います。通話サマリーも同じ感覚で使うと、現場への定着がスムーズです。
2026年12月に向けて、今できる準備
リリースまで約1カ月という時点で、すぐに何かを変える必要はありません。ただ、いざ機能がリリースされたときに「使おうとしたら設定が足りなかった」という状況を避けるために確認しておける点はあります。
まず、自社のTeamsでコールキュー機能が有効になっているかどうかです。Teams管理センターから確認できますが、管理者権限のある担当者でないとアクセスできません。社内にIT担当がいる場合はその方に、外部ベンダーに委託している場合は担当者に「Queuesアプリが使える状態か」を確認するメールを一本送るだけで済みます。
次に、モバイルアプリの利用環境です。外出中に使うことを前提にした機能なので、現場担当者のスマートフォンにTeamsアプリが入っているか、プッシュ通知が許可されているかを確認しておくと、リリース後にすぐ試せます。
ChatGPTの使い方ガイドを参考に社内のAIリテラシーを底上げしておくと、AIが生成したサマリーを「そのまま信じる」のではなく「確認しながら使う」姿勢をチームに根付かせやすくなります。特に顧客対応の内容を記録に残す場面では、AIの出力を起点に人が確認するプロセスを最初から設計しておくことが、後々のトラブル回避にもつながります。
まとめ
TeamsのQueuesアプリに追加されるAI通話サマリーは、電話対応後の記録作業という「見えにくいけれど積み重なる負荷」を減らすための機能です。外回り中の営業担当、複数人で代表電話を分担しているサポートチーム、コール品質を管理する立場のリーダー——それぞれに異なる使い方の余地があります。
2026年12月のリリースまでにできることは多くありませんが、今の契約プランとTeamsの設定状況を把握しておくだけで、使い始めるまでの時間を短くできます。あなたの会社の電話対応で、後処理に一番時間がかかっている場面はどこでしょうか。そこから考えると、この機能が自社に合うかどうかの判断がしやすくなります。
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