Microsoft Copilotの会話記録、Teams保持ポリシーの対象外に──2026年10月から変わる情報管理ルールを確認する

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Microsoft 365 Copilot(社内の業務をAIがサポートするMicrosoftのサービス)を導入している会社で、情報管理の担当者が見落としがちなポイントがあります。2026年10月から、Teamsに設定している保持ポリシー(データを何日間保存するか・いつ削除するかを定めたルール)が、Copilotの会話記録には自動的に適用されなくなります。この記事では、変更の内容・影響を受ける会社の条件・確認の進め方を整理します。

目次

何が変わるのか

記事内図解

Microsoft Purview(企業内のデータを管理・監査するためのMicrosoftのツール群)では、データライフサイクル管理という機能を使って「どの記録をいつまで保持するか」を設定できます。これまで、Teamsのチャットに対して設定したレガシーな保持ポリシー(旧来の設定方式で作られたもの)が、Microsoft 365 Copilotのやり取りにも暗黙のうちに適用されるケースがありました。つまり、Teamsのポリシーを設定していれば、Copilotの会話記録も同じルールで管理されていると思っていた会社が少なくないということです。

2026年10月の変更後、この動作は変わります。TeamsのレガシーなデータライフサイクルポリシーはTeams専用として扱われ直し、Copilotワークロード(Copilotが生成・記録するやり取り)には引き続き適用されません。Microsoftが公開しているロードマップ(ID: 571306)では「一般提供開始はCY2026年10月」と記載されています。

この変更を単純に言えば、「今まで偶然カバーできていた部分が、正式に切り離される」ということです。意図的にCopilot用のポリシーを設定していた会社は影響を受けません。問題になるのは、TeamsのポリシーをそのままCopilotにも流用できていると思い込んでいた場合です。

「気づいていない会社」が多い理由

Microsoft 365 Copilotは2023年末から段階的に法人向けに提供が広がり、中小企業でも従業員20〜30人規模での導入が進んでいます。ただ、Copilotを使い始めた会社の多くは「AIが便利に使えるツール」として導入を進める一方で、その会話記録がどう保存・管理されているかまで詳しく設定していないことが多いです。

弊誌が読者企業(従業員10〜80人規模)に対して非公式にヒアリングしたところ、Copilotを業務で使っている会社のうち「Copilot専用の保持ポリシーを設定している」と答えた担当者は少数にとどまりました。多くの担当者が「Teamsの設定がCopilotにも効いていると思っていた」か、「Copilotの会話記録がどこに保存されているかあまり把握していない」という状況でした。今回の変更は、この「思っていた」が間違いだったと公式に確定させる意味を持ちます。

たとえば、従業員40人の製造業で、経理担当者が月次の支払い条件をCopilotとのやり取りの中で確認していたとします。もし何らかのトラブルが起きて「いつ、誰が、何を確認したか」を記録として提出する必要が生じたとき、保持ポリシーが設定されていなければそのやり取りは保存されていない可能性があります。逆に、設定なしで全記録が無期限に残り続けているケースも考えられます。どちらも管理の観点からは望ましくありません。

自社が影響を受けるかの確認方法

対応が必要かどうかは、以下の2点で判断できます。

まず、Microsoft 365 CopilotをすでにMicrosoft 365のライセンスとして利用しているかどうかです。Copilotは単体のライセンスとして月額課金で提供されており、Microsoft 365 Business StandardやBusinessPremiumなどに追加する形で契約します。ライセンス管理担当者に確認するか、Microsoft 365管理センターのライセンス一覧で確認できます。

次に、Microsoft Purviewの「データライフサイクル管理」の画面で、現在のポリシーの対象範囲を確認します。管理センターからPurviewにアクセスし、保持ポリシーの一覧を開いたとき、対象として「Teamsチャット」が設定されているポリシーがあれば、それがCopilotにも適用されているかを確認してください。ポリシーがTeamsのみを対象としていてCopilotが別項目で指定されていない場合、今回の変更後はCopilotの会話記録が管理対象から外れます。

Purviewの操作に慣れていない場合は、Microsoft 365の管理者アカウントを持つ情シス担当や、契約しているMicrosoft CSP(クラウドサービスプロバイダー)の担当者に確認を依頼するのが現実的です。操作自体は管理者権限があれば可能ですが、設定を誤るとポリシーが全社に一斉適用されるリスクもあるため、変更前に現在の設定のスクリーンショットや設定値を記録しておくことをお勧めします。

Copilot専用ポリシーを設定するかどうかの判断

Copilotの会話記録に保持ポリシーを設定するかどうかは、会社のルールや業種によって判断が変わります。画一的に「設定すべき」とは言えませんが、具体的な条件で整理すると次のようになります。

法律事務所・会計事務所・医療関連など、法令で記録保持期間が定められている業種の場合は、Copilotの会話記録も業務記録と見なされる可能性があるため、ポリシーを設定して保持期間を明示しておくことが望ましいです。一方、Copilotを使い始めたばかりで社内ルール整備が追いついていない段階であれば、まず「Copilotの会話記録が現在どこに・どれだけ保存されているか」を把握することを優先し、ポリシー設定はその後で検討するという順序が現実的です。

保持ポリシーを設定しない場合、Copilotのやり取りはMicrosoftのデフォルト設定に従って扱われます。現時点のMicrosoftの仕様では、Copilotの会話はユーザーのメールボックスに保存される設計になっていますが、保持期間や削除タイミングをコントロールするにはPurviewでの明示的な設定が必要です。プロンプトの書き方や履歴管理のルールを社内で整備する方法については、プロンプトエンジニアリングの基礎ガイドでも触れているように、使い方のルールと記録管理のルールはセットで考えるのが合理的です。

2026年10月までにやっておくこと

変更が適用されるのは2026年10月です。9月現在、まだ数週間の余裕があります。ただし、ポリシーの確認と変更手順をゼロから進めると担当者の工数がかかるため、早めに着手しておくほうが安心です。

現状確認・対応の大まかな流れは次のとおりです。まず、Copilotの利用状況を把握します(どの部門の誰が使っているか)。次に、現在のPurview上の保持ポリシーを確認し、Copilotを対象としたポリシーが別途設定されているかどうかを確認します。設定がなければ、Copilotの記録をどう扱うか(保持するか・削除するか・期間はどれくらいか)の方針を関係者で決め、その方針にもとづいてPurviewで設定を追加します。

このプロセス自体は、Microsoft 365のグローバル管理者またはコンプライアンス管理者ロールを持つアカウントがあれば対応できます。外部のITベンダーやMicrosoft CSPに依頼している会社は、この変更を伝えたうえで確認を依頼することができます。

ChatGPTなど社外のAIサービスの利用ルールと合わせてCopilotの社内利用ポリシーを整備しようとしている会社には、ChatGPT業務利用の基本ガイドで整理した考え方も参考になります。どのAIツールであっても「何を入力したか」「その記録がどこに残るか」を把握しておくことが、情報管理の出発点になります。

まとめ

Teamsの保持ポリシーがCopilotの会話記録をカバーしているという状態は、2026年10月以降は正式に解消されます。意図せずCopilotの記録が管理対象に入っていた会社にとっては、この変更によって管理の空白が生まれる可能性があります。逆に言えば、今回の変更はCopilotの記録管理を「偶然任せ」から「意図的な設定」に移行させる機会でもあります。

まず自社のCopilot利用状況と現在のPurview設定を確認することが、今できる一番確実な一歩です。設定の変更をどこまで進めるかは、業種や社内のコンプライアンス方針によって異なりますが、「把握していない」状態を続けることは避けたいところです。Copilotの会話記録が社内でどう扱われているか不明な場合や、Purviewの設定変更に不安がある場合は、Microsoft 365を管理しているベンダーやAI導入支援の専門家に相談する選択肢も検討してみてください。

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