AIを使った情報検索ツールとして知られるPerplexityが、定型業務の自動実行機能「Automations」の開発を進めています。スケジュールを組んだり、特定の条件をトリガーにして処理を走らせたりする仕組みで、毎日・毎週繰り返しているルーティン作業を手放せる可能性があります。この記事では、機能の概要と、自社の業務に当てはめて考えるための整理軸をまとめます。
Perplexity Computerとは何か

まず前提を整理します。Perplexityはもともと、AIが回答を生成するときにウェブ上の情報を参照し、出典を示しながら答えてくれる検索特化型のAIツールです。ChatGPTとの違いを一言で言うなら、「リアルタイムの情報を引っ張ってきて、その根拠も見せてくれる」という点にあります。
その上位機能として位置づけられるのが「Perplexity Computer」です。単に質問に答えるだけでなく、複数の操作をまとめてワークフローとして実行できる機能で、より複雑なタスクをこなせるよう設計されています。現時点では一般的な中小企業がすぐ使える段階かどうか、利用条件や料金プランについて公式から詳細な発表はまだありません。ただし、開発中の機能として方向性が明らかになってきたため、「どんな業務に使えそうか」を今のうちに検討しておく価値はあります。
開発中の「Automations」機能の概要
今回明らかになったのは、Perplexity Computerに「Automations」という自動化機能が追加される見込みだということです。「カスタムスケジュールでワークフローを実行する」「特定の条件が満たされたときに起動する」という2つの軸で自動処理を組める設計になる模様で、結果は自動で届く形を想定しているようです。
これが実際に使える状態になると何が変わるかを、ツールの技術的な側面より業務の文脈で考えてみます。毎朝9時に競合他社のニュースを調べてまとめる作業、週次で売上データを拾って簡単な集計レポートを作る作業、特定のキーワードが話題になったときにアラートを受け取る仕組み——こういった繰り返し作業に対して、人間が毎回手を動かさなくても済む仕組みが組める可能性があります。
RPAやPythonスクリプトによる自動化と根本的に異なるのは、自然言語で指示できる点です。「毎週月曜の朝、この3つのサイトから新着情報を集めてまとめてくれ」という指示が、エンジニアを通さずに設定できることが想定されています。これはエンジニアリングの知識がない総務担当や営業担当にとって、従来とはまったく異なるアプローチです。
自社の定型作業を棚卸しするための分類軸
この機能が使えるかどうかを考えるより先に、「自社に自動化できる作業がそもそもあるか」を確認する必要があります。以下の4つの分類に当てはまる作業は、AIによる自動化と相性がよい傾向があります。
情報収集型は、特定のサイトやニュースを定期的にチェックして関連情報を拾ってくる作業です。業界動向の確認、競合の価格・キャンペーン情報の追跡、求人サイトへの出稿状況の確認などが該当します。毎回担当者が手でブラウザを開いて確認している場合、スケジュール実行で置き換えやすい筆頭候補です。
集計・要約型は、散在している情報を一定のフォーマットにまとめる作業です。週次の問い合わせ数をまとめてメールで送る、複数部門からの報告を一本にまとめて上長に展開する、といった作業がこれにあたります。情報を集める手間と、整形する手間が両方発生しているなら、自動化による時間削減が期待できます。
通知・アラート型は、特定の条件が発生したときに関係者に知らせる作業です。在庫が一定数を下回ったら発注を促す、特定のキーワードがSNSで急増したら担当者に通知するといった使い方が考えられます。Automationsのトリガー起動との相性がとくに高い分類です。
レポート化型は、定期的に同じ形式のレポートを作って共有する作業です。日報・週報・月次のまとめ資料など、フォーマットが決まっていて内容を埋めていくだけの作業なら、AIが下書きを生成する形に変えやすいです。
たとえば従業員20人の商社で、営業担当が毎週月曜に競合4社のウェブサイトを回って価格変更や新着情報を確認し、それをExcelにまとめて営業マネージャーに送っている、という作業があったとします。これは情報収集型と集計・要約型が重なったケースで、手間の大半はAIが代替できる候補です。担当者がこの作業に毎週2時間使っているなら、年間で100時間以上の工数が動いています。
「まだ開発中」をどう受け止めるか
Automationsは現時点で開発中の機能であり、いつから、いくらで、どの範囲のユーザーが使えるかはまだ明らかではありません。この段階で記事にする意味があるのか、と感じる方もいるかもしれません。ただ、方向性がはっきりしてから動き始めると、「使えるとわかってから考える」という状態になり、準備期間がほぼゼロになります。
より実用的な備え方は、機能の詳細確定を待ちながら、自社の定型業務を今のうちに棚卸ししておくことです。プロンプトの設計方法を事前に理解しておくことも、実際に使い始めたときの立ち上がりを早めます。Perplexityに限らず、AIのワークフロー自動化ツールはここ1〜2年で急速に増えており、どのツールを使うにしても「どの作業を任せるか」を考える練習は無駄になりません。
また、Automationsが日本のユーザー向けに正式リリースされるタイミングで、どのプランに含まれるかは重要な判断軸になります。現状のPerplexityには無料プランと月額20ドル前後の有料プラン(Pro)があり、高度な機能は有料プランに限定されることが多いです。従業員規模が10〜30人の会社であれば、まず数名が試用して効果を測ってから全社展開を検討する、という進め方が現実的です。
類似ツールとの違いを整理する
「定型業務を自動化する」という文脈では、すでにいくつかの選択肢が存在します。ChatGPTのカスタム設定や活用方法も選択肢のひとつですが、ツールごとに強みが異なります。
現時点での各ツールの特徴を整理すると、次のような傾向があります。
| ツール | 強み | 向いている用途 |
|---|---|---|
| Perplexity(Automations) | リアルタイム情報収集+自動実行 | 競合調査・ニュース収集の自動化 |
| ChatGPT(GPTs・API) | 文章生成・要約・分析の柔軟性 | 文書作成・メール下書きの補助 |
| Zapier+AI連携 | 既存アプリとの連携 | 社内システム間のデータ連携 |
| Microsoft Copilot | Office製品との統合 | Word・ExcelベースのExisting業務 |
PerplexityのAutomationsが他のツールと異なる可能性があるのは、「最新情報を取得する」という部分が標準で組み込まれているという点です。固定のデータを処理するだけでなく、実行タイミングで最新のウェブ情報を取ってきてまとめる、というフローが一つのツールで完結する設計を目指しているようです。社外の情報をリアルタイムで追いかける必要がある業務——たとえば、特定業界のニュースモニタリングや、自社商品に関するSNS上の言及チェックなど——では、他ツールより使い勝手がよくなる可能性があります。
ただし、自社内のシステムやデータと深く連携させたい場合は、Zapierのような既存アプリ連携ツールや、Microsoft 365環境であればCopilotのほうが現実的な選択肢になります。Automationsはあくまで「ウェブ上の情報と自然言語処理を組み合わせた自動化」を得意とする方向性であり、基幹システムとの統合には別途対応が必要になると考えておくほうが安全です。
まとめ
PerplexityのAutomations機能は、エンジニアを介さずに情報収集や定期レポートを自動化できる可能性を持っています。ただし現在はまだ開発段階であり、具体的な仕様・料金・提供時期は未確定です。今この段階でできる最も実用的な準備は、自社の「毎週・毎月繰り返しているが、決まったパターンで動いている作業」をリストアップしておくことです。機能が使えるようになったとき、「何を自動化できるか」がすぐ判断できる状態を作っておけるかどうかが、導入速度に直結します。
AI自動化ツールの活用は、どのツールを選ぶかより、自社の業務をどう整理するかのほうが先に来る問題です。自社で整理するのが難しければ、AI導入の相談窓口に投げてみるのも一つの手です。


