Gemini Businessが社内ツールと直接つながる「カスタムMCP」に対応。自社データをAIに読ませる時代が来た

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Gemini Businessが、社内の独自システムやデータと直接つながれる「カスタムMCP接続」に対応しました。これまでAIアシスタントは外部の一般的な情報しか扱えませんでしたが、この機能により自社固有のデータをAIが参照しながら作業できる環境が整いつつあります。この記事では、カスタムMCPが何をするものなのか、どんな会社に使い道があるのかを整理します。

目次

「カスタムMCP」とは何か

記事内図解

MCPとは「Model Context Protocol」の略で、AIと外部システムをつなぐための通信規格です。難しく聞こえますが、要するに「AIがどこからデータを受け取るかのルール」を標準化したものです。USB規格が異なるメーカーの機器をつなぐように、MCPはAIと社内システムの橋渡し役を担います。

Gemini Businessは2024年からGoogleが提供しているビジネス向けのAIサービスで、Google Workspaceのアプリ(GmailやGoogleドライブなど)と連携した文書作成・要約・翻訳などができるプランです。これまでは連携できるデータソースがGoogle製品に限られていましたが、カスタムMCP対応によって「自社で運用している顧客管理システム」「社内のWikiやマニュアル」「会計ソフトのデータ」といった外部の独自データもAIに読み込ませられるようになりました。

「AIに自社データを読ませる」というと、データ漏洩を心配する声もあります。MCPは接続の経路と権限を明示的に設定する仕組みなので、どのデータをAIに渡すかを管理者側がコントロールできます。ただし、設定の詳細はGemini Businessの管理コンソールで確認する必要があり、セキュリティポリシーとの照合は導入前にIT担当者と確認するのが安全です。

社内のどのデータと連携したいか——中小企業でのニーズ

中小企業の管理部門・現場担当者に「社内のどのツールやデータをAIと連携させたいか」を聞くと、上位に挙がるのは次の3種類です。

1位:顧客管理DB(CRMやExcel管理の顧客台帳)
問い合わせ対応や提案書作成のたびに、担当者が顧客情報を手動で検索・貼り付けする手間が発生しています。AIが顧客情報を参照できれば、「田中商事の直近の購入履歴を踏まえて提案文を書いて」という指示が現実的になります。

2位:社内マニュアル・規程集
就業規則や業務手順書がPDFやGoogleドキュメントに散在しているケースは多く、「この場合どの規程が適用されるか」を探す時間が積み重なります。AIがマニュアルを参照しながら答えられれば、問い合わせ対応の負担が軽くなります。

3位:会計・受発注データ
月次の売上集計や支払い状況の確認を、担当者がシステムからCSVを取り出してExcelで整形するフローはよく見られます。AIが直接参照できれば、「今月の未入金リストを出して」と言うだけで済む可能性があります。

このニーズ順位は、AIを本格活用している会社と「これから検討する」会社で大きな差はありません。つまりカスタムMCPが狙うのは、AIにまだ慣れていない会社がスムーズに業務連携を始められる入口にもなり得ます。

具体的にどう変わるか——2つのシナリオ

従業員40人の卸売業を例に考えます。営業担当が取引先への提案書を作る場面で、これまでは「CRMを開く→直近の取引を確認する→Wordに手入力→Geminiに文章を整える」という4ステップが必要でした。カスタムMCPでCRMと連携済みの環境なら、Gemini Businessのチャット画面で「○○商事向けの提案書を書いて。直近の取引履歴を参考にして」と入力するだけで下書きが出てきます。CRMを開く・手入力するという工程が消えます。

別のシナリオとして、従業員15人の製造業で経理担当が1人という状況を考えます。月末の請求書処理と支払い確認が集中する時期に、受発注システムのデータをAIが参照できれば「今月の未払い案件をリストアップして優先度順に並べて」という指示で作業の起点が作れます。経理担当1人の負荷を分散させる使い方として、現実的な選択肢になります。ChatGPTを業務で使い始める際の指示の出し方について書いたガイドでも触れているように、AIへの指示は「何をどの順番で」という条件を具体的にするほど精度が上がります。カスタムMCPは「AIが前提情報を自分で取ってこられる状態」を作るので、指示をシンプルにしやすくなる点も見逃せません。

Gemini Businessを使っていない会社が先に確認すること

カスタムMCPを使うには、Gemini BusinessまたはGoogle Workspaceのビジネスプランの契約が前提です。2026年9月時点では、Gemini BusinessはGoogle Workspace Business Starterに含まれる形で提供されており、1ユーザーあたり月額は為替や契約形態によって変わりますが、Google Workspaceの日本向け価格ページで現在の料金を確認できます。

すでにGmailやGoogleドライブをビジネスで使っている会社なら、既存のWorkspaceプランにGemini機能が含まれているか管理コンソールで確認するのが先決です。含まれていない場合は、プランのアップグレードまたはGemini Businessアドオンの追加が必要になります。

カスタムMCPの設定は、管理コンソールの「アプリ」または「AIと機械学習」の設定画面から行うと案内されていますが、接続先のシステムがMCPに対応したサーバーを用意している必要があります。クラウド型のCRMやビジネスチャットツールはMCP対応を順次進めており、主要なSaaSであれば対応状況をベンダーに問い合わせるところから始めるのが実際的です。自社開発の基幹システムや独自のデータベースの場合は、エンジニアの協力が必要になる可能性があります。

社内のどのデータからAI連携を始めるかに迷う場合、プロンプトの書き方ガイドで紹介している「業務の入力→判断→出力」のフローで自社の作業を整理してみると、AIが介在できるポイントが見えやすくなります。

カスタムMCPが中小企業に広がる条件

今回の対応はGemini Businessというビジネスプラン限定の機能として始まっていますが、同様の機能が無料版や一般消費者向けのGeminiに展開されるかどうかは現時点では不明です。ただし、Google、Microsoft、Anthropicという主要なAI企業がいずれもMCP対応を加速させているのは、AIを「汎用的な質問応答ツール」から「業務システムに組み込まれた作業エージェント」へ移行させるための共通した方向性です。

中小企業にとって現実的な判断軸は次のように整理できます。すでにGoogle Workspaceを全社導入しているならカスタムMCPの試験的な設定を管理コンソールで確認するコストは低く、試してみる価値があります。一方、まだGemini Business自体を契約していない場合は、まず「社内のどのデータをAIと連携させたいか」を現場担当者に聞き出してリストを作るだけでも、次の一手が明確になります。AIツールの契約を先に進めるより、社内の課題整理を先にやる順番の方が、導入後の活用につながりやすいです。

まとめ

Gemini Businessのカスタムアップは「AIが社内のデータを直接参照できる」という一線を越えた機能です。これまでのAIは「良い道具」でしたが、社内システムと連携が進むと「業務フローの中に組み込まれたメンバー」に近い役割になっていきます。自社がGemini Businessを契約済みであれば管理コンソールで接続設定を確認し、まだ契約していなければ「どのデータからAIと連携させたいか」を社内でリストアップすることが、この流れへの具体的な一歩になります。

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