会議室のビデオ会議機器を「とりあえず動いているから」で放置している会社は、少なくないはずです。Googleが2026年9月、Google Meet向け会議室ハードウェアのプラットフォームをChromeOSからAndroid(AOSP)へ切り替えていくと正式に発表しました。既存のChromeOSデバイスのサポートは2030年9月まで続くため、今すぐ機器を買い替える必要はありません。ただし、この発表は「いつまで今の機器を使えるか」と「次の機器選びをいつ始めるか」を考えるうえで、明確なタイムラインを示しています。この記事では、発表内容の整理と、中小企業の総務・情シス担当が取り組むべき確認事項をまとめます。
今回の発表で変わること・変わらないこと

Googleの発表の核心は、会議室向けハードウェアの「今後の主軸をAndroidに置く」という方針転換です。Google Meetの会議室用ハードウェアとは、会議室に据え置きで使うタッチパネル式のコントローラーや専用ディスプレイ、カメラシステムなど、PCを持ち込まずにMeetを起動・操作するための専用機器を指します。これまでこれらの機器はChromeOSで動作するものが主流でしたが、今後の新製品開発はAndroidベースに移っていきます。
変わらない部分も明確になっています。すでに導入済みのChromeOSデバイスへのサポートと更新提供は、2030年9月まで継続されます。Logitech、Neat、HP Polyといったハードウェアパートナーとの連携も続き、2027年には大型ディスプレイ向けのAndroidデバイスが複数投入される予定です。つまり、ChromeOSデバイスが突然使えなくなるわけではなく、サポート期限まで計画的に移行できる猶予が設けられた形です。
この方針転換の背景には、Androidエコシステムの広さがあります。Androidベースにすることで、対応するハードウェアの選択肢が増え、機能のアップデートをより素早く届けられるとGoogleは説明しています。中小企業の立場から見れば、将来的に「選べる機器の幅が広がる」「価格帯の選択肢も増える可能性がある」という方向性として受け取れます。
ChromeOSデバイスのサポート期限と機種別の確認方法
総務・情シス担当が最初にやるべきことは、自社の会議室にどの機器が入っているかを確認することです。Google Meet対応のChromeOSデバイスは、機種ごとにサポート期限(AUE:Auto Update Expiration date)が異なります。「ChromeOSデバイスのサポートは2030年9月まで」というのはあくまで会議室ハードウェアカテゴリとしての上限であり、個別の機種によってはそれより前に自動更新サポートが終わるものもあります。
以下は、国内でよく見かけるGoogle Meet対応ChromeOSデバイスの代表的な機種と、確認すべきポイントをまとめたものです。実際のAUE日付はGoogleの公式サポートページで機種名から検索できます。
| 機器カテゴリ | 代表的なメーカー | 確認先 |
|---|---|---|
| 会議室コントローラー(タッチパネル) | Logitech、Lenovo、ASUS | Google ChromeOS AUEポリシーページ |
| 統合型会議室システム | Neat、HP Poly | 各メーカーサポートページ |
| 大型ディスプレイ一体型 | ASUS、Logitech | Google ChromeOS AUEポリシーページ |
AUE日付が2027年以前に到来する機種を使っている場合は、2030年9月まで待つ必要はなく、早めに移行を検討したほうが現実的です。一方、AUEが2028〜2030年の機種であれば、2027年に出揃う予定のAndroid対応新製品を見てから判断しても遅くありません。
中小企業が直面しやすい「後回しリスク」
従業員50人規模の会社で、会議室が2〜3室あるケースを想定してみます。各部屋にGoogle Meet用のChromeOSデバイスが1台ずつ置かれている場合、導入時期がバラバラなことも多く、どの機種が何年のAUEを持つかを把握していない担当者も少なくありません。こうした会社でよくある問題は、AUEを過ぎてもソフトウェアの更新が届かない状態で使い続け、セキュリティリスクが高まることです。会議室の機器は「壊れていなければ交換しない」という扱いになりがちですが、サポート切れの機器はセキュリティ更新も止まります。
また、機器の更新を予算計画に入れていない会社も多く見られます。1台あたりの会議室システムは構成によって異なりますが、カメラ・コントローラー・スピーカーをセットで揃えると数十万円規模になることもあります。2027年のAndroid新製品が出てから予算を確保しようとしても、年度予算に織り込んでいなければ実際の購入は1〜2年後にずれ込みます。今の段階から「いつ、何を、どの予算枠で更新するか」の大まかな計画を立てておくことが、後の混乱を防ぎます。
なお、Google Meetをまだ会議室専用ハードウェアとして導入していない会社の場合、今すぐChromeOSデバイスを新規購入するのは得策ではありません。2027年以降に出揃うAndroid対応デバイスを待って導入するほうが、長く使える機器を最初から選べます。
2027年以降の移行をどう計画に織り込むか
Googleの発表によると、大型スペース向けのAndroid対応デバイスが2027年に複数投入される予定です。現時点では具体的な価格は未公表ですが、Androidエコシステムの特性上、現行のChromeOSデバイスと同等か、選択肢によってはより低コストで導入できる可能性があります。ただし、これは確定情報ではないため、予算計画はあくまで「2027年に情報が出たら改めて検討する」という前提で立てておくのが現実的です。
移行のタイミングを考えるうえでの条件分岐は比較的シンプルです。使っているChromeOSデバイスのAUEが2026〜2027年中に来る場合は、2027年のAndroid新製品の情報が出るのを待ちつつ、早めの予算確保に動く必要があります。AUEが2028年以降なら、2027年の新製品ラインアップを見てから判断しても間に合います。そもそもGoogle Meetを会議室専用ハードウェアで使っていない場合は、2027年以降の導入を念頭に置きつつ、今は現状維持で問題ありません。
GoogleのAIアシスタント機能との連携という観点からも、このプラットフォーム移行は注目に値します。GeminiなどChatGPTガイドでも触れているような生成AIとの会議連携機能は、今後Androidベースの会議室デバイスを通じて先に提供される可能性が高くなります。機器のプラットフォームが機能提供速度に直結するため、「最新のAI会議支援機能を使いたい」という場合はAndroid移行の優先度が上がります。
確認作業の進め方
総務・情シス担当が今すぐできる確認は、大きく2つです。
ひとつは、自社の会議室にある機器の機種名とシリアル番号を拾い出し、GoogleのChromeOS AUEポリシーページで各機種のサポート期限を調べることです。機種名は本体の底面や背面に記載されていることが多く、購入時の納品書に残っている場合もあります。社内で把握している担当者がいない場合は、機器を購入・導入した販売店やベンダーに問い合わせるのが早道です。
もうひとつは、確認した期限を社内の設備台帳や予算計画に記録しておくことです。プロンプトの書き方ガイドでも整理の考え方として触れているように、情報を一か所に集めておくだけで、次に判断が必要になったときのスピードが大きく変わります。機器名・設置場所・AUE日付・購入金額の4項目をスプレッドシートにまとめておくだけで十分です。
まとめ
今回の発表が意味するのは「すぐ動かなければならない」ではなく、「計画を立てるための情報が出た」ということです。2030年9月というサポート期限は、中小企業にとって余裕のあるタイムラインに見えますが、機種によってはそれより前にAUEが来るものがあり、2027年の新製品情報が出た後に予算を動かそうとすると年度計画との兼ね合いで遅れが生じます。まず自社の機器のAUEを確認し、それを予算計画のどこに置くかを大まかに決めておく——その2ステップだけで、今後の移行をずっと落ち着いて進められます。機器の確認作業をどこから手をつければいいか迷う場合は、導入支援の相談窓口を活用することも選択肢のひとつです。


