弥生給与からの移行作業を進めているなかで、「この操作は合っているのか」「データはどこに持っていけばのか」と手が止まった経験がある給与担当者は少なくないはずです。弥生は2026年現在、「弥生給与 Next」への移行を進めるユーザー向けに、AIチャットボットを使った問い合わせ窓口を開設しました。電話サポートを待たずに、疑問をその場で解消できるのが特徴です。この記事では、チャットボットの使い方と、移行作業でよくある詰まりどころを整理します。
弥生給与 Nextへの移行、何が変わったのか

弥生給与 Next(やよいきゅうよ ねくすと)は、従来の「弥生給与」の後継にあたるクラウド給与ソフトです。データの保管がクラウド上に移るため、在宅ワーク中でも給与計算ができる・複数担当者での同時作業が可能になるといった変化がある一方で、操作画面や設定手順が旧版から変わっている箇所があります。特に、部門別設定や勤怠連携の方法は以前と異なっており、慣れた操作が通じないと感じる担当者が出やすい部分です。
移行の手順は大きく「データのエクスポート→弥生給与 Nextでの初期設定→インポート・確認」という流れですが、自社の従業員数や給与形態によって手順の細かさは変わります。また、勤怠管理ソフトとの連携を行っている場合は、その設定もし直しが必要になります。この記事は移行方法の入門解説ではなく、「作業中につまずいたときにどう解決するか」に絞って書いています。
AIチャットボットの場所と使い方
弥生がユーザー向けに公開している「弥生給与 Next 移行支援ガイド」のページを開くと、画面の右下に「?」と書かれたボタンが表示されます。ここをクリックすると、AIチャットボットの会話画面が立ち上がります。このチャットボットは、弥生が移行作業でよく寄せられる質問に回答できるよう設定したもので、テキストで質問を入力すると関連する手順や注意点を返してくれます。
使い方自体はシンプルで、AIや特定のソフトの操作に不慣れな担当者でも問題なく使えます。たとえば「従業員のデータを引き継ぐにはどうするか」「旧バージョンの社会保険設定はどこに移せばよいか」のように、自然な言葉で質問を入力するだけです。ChatGPTのように自由な会話ができるというより、移行作業に特化した問い合わせに答えることを目的としたツールとして捉えるのが適切です。ChatGPTについてはChatGPTの使い方ガイドでも汎用的な使い方をまとめています。
アクセス先は弥生の公式サイト内にある移行支援ガイドのページで、ログイン不要で利用できます。契約プランによるアクセス制限もなく、弥生給与のユーザーであれば誰でも使える窓口です。
移行作業でよく詰まるポイントと確認方法
弥生給与 Nextへの移行で担当者が手を止めやすい場面を、以下に整理しました。これはチャットボットで確認できる質問の例でもあります。
| よく詰まる場面 | チャットボットへの質問例 |
|---|---|
| 旧版の設定データをどこからエクスポートするか | 「弥生給与のデータエクスポートはどこからできますか」 |
| 年途中からの移行で過去の支給実績をどうするか | 「6月時点からNextに切り替える場合、前月分の支給データはどうなりますか」 |
| 部門・役職の設定が新版でどこに移ったか | 「部門設定の場所が見つかりません」 |
| マイナンバーの取り込み手順 | 「マイナンバーはどのように移行しますか」 |
| 勤怠連携ソフトとの再設定方法 | 「他社の勤怠ソフトと連携していますが、Next移行後にどう再設定しますか」 |
これらの質問は電話サポートでも対応できますが、電話の場合は混雑時間帯に20〜30分待つこともあります。「確認するだけ」の軽い疑問であれば、チャットボットで解消してから作業を続ける方が時間のロスは少なくなります。
従業員30人規模の会社がつまずきやすい場面
従業員30人ほどの会社で給与計算を1〜2人で担っているケースでは、移行作業を月末処理と並行して進めることが多く、余裕がないなかで手順を確認する場面が出やすくなります。たとえば、月末の給与締め処理が迫っているなかで「部門コードの設定が旧版と新版で合わない」という状況になると、翌日の給与振込に間に合うかが心配になります。こういった場面でチャットボットが機能するのは、24時間いつでもアクセスできる点と、操作手順をテキストで返してくれるため画面を見ながら確認できる点にあります。
ただし、チャットボットが対応しているのは「移行に関する一般的な手順や疑問」が中心です。自社固有の設定ミスや、エラーメッセージが返ってきた場合の詳細なトラブルシュートは、弥生のサポートデスクに問い合わせる方が確実な解決に近づきます。チャットボットで大まかな方向を確認してから、サポートデスクに具体的な状況を伝える、という使い方が現実的です。
移行期限と進め方の目安
弥生は旧版弥生給与のサポート終了時期を段階的に告知しています。すでに旧版のサポート期限が決まっている場合、期限を過ぎると法改正対応のアップデートが提供されなくなるため、そのまま使い続けると年末調整や社会保険の計算に影響が出るリスクがあります。自社のライセンス契約がいつまでのサポートに対応しているかは、弥生のマイページまたはサポートに確認してください。
移行作業の全体的な流れとして、現場担当者が意識しておくべき大まかなステップは次のとおりです。旧版からのデータ書き出し、Next側での会社情報・従業員情報の初期設定、インポートと金額チェック、勤怠連携や外部ソフトとの接続設定、という順番で進めていくのが基本です。各ステップで「次に何をするか」が分からなくなったときに、AIチャットボットを手元の手引きとして使うイメージが実態に合います。
プロンプトの書き方ガイドでも触れているように、AIへの質問は曖昧な書き方より「どの画面のどの操作がわからないか」を具体的に書いた方が、精度の高い回答が返ってきます。弥生のチャットボットでも同じで、「移行がわかりません」より「従業員情報のCSVインポートでエラーになります」のように状況を絞って質問すると、手順の回答が得やすくなります。
まとめ
弥生給与 Nextへの移行は、慣れた操作が変わることで想定外に時間がかかる作業です。公式のAIチャットボットは、電話サポートに繋がるほどでもない「ちょっとした確認」を済ませるのに向いています。移行作業を月末処理と並行して進めている担当者にとっては、手が止まった瞬間に質問できる窓口があるかどうかで、作業を再開できるまでの時間が変わります。まだ移行に着手していない会社にとっては、チャットボットの存在よりも「いつまでに移行を完了させる必要があるか」を先に確認することが、今の優先順位として高い判断材料になるでしょう。


